具沢山

具沢山のスープ、と誇らしげに書かれていると、ふん、と思ってしまう。そりゃ、具沢山にすればいろんな食材から旨味が出て、なんとなく美味しい風になるさ。見た目もゴージャスだし。

私は具が少ないスープの方が好きだ。煮込んでクタクタになった具材を食べるのは、鍋とかシチューでいい。

スープをたべるときは、あの液体の魔法のような美味しさを味わいたい。ただの色がついたお湯に不思議なくらいたくさんの香りと味がまとわりつき、無限のバックグラウンドを感じさせられるあの瞬間が大好きだ。

キラキラと透けるコンソメスープ、こってりと暖かいカボチャスープ、少し遠慮がちな薄黄色のコーンスープ、深緑のモロヘイヤのスープ、元気なピンクのボルシチ、冷たく白いヴィシソワーズ、海老を溶かしたようなオレンジのビスク。

 

具の少ない、贅沢なスープが飲みたい。